相続に関する手続き
相続とは、個人(被相続人)が亡くなった場合に、その者の有していた財産上の権利義務を、その者の配偶者や子など、一定の身分関係のある者(相続人)に承継させる制度の事です。
継ぐ財産には、土地、建物、現預金のみならず、貸金や売掛金などの債権も相続の対象になります。また、このようなプラスの財産に限らず、借金や損害賠償債務といったマイナスの財産も相続されます。
相続に関する基礎知識
相続人になれる者
ある人が死亡した場合に、誰が相続人になるかは民法で定められています。
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
●第1順位・・・死亡した人の子供
その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。
●第2順位・・・死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。 第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。
●第3順位・・・死亡した人の兄弟姉妹
その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。 第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。
法定相続分と遺産分割協議
●配偶者と子供が相続人である場合
配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2
●配偶者と直系尊属が相続人である場合
配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
●配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4
なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。
また、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、遺産分割協議で法定相続分と異なる分割をすることもできます。
必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。
相続放棄
相続放棄は各相続人が、自分の為に相続があった事を知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄申述書を提出して行います。
相続放棄するとその法定相続人は初めから相続人でなかったことになり、一切の財産、負債を承継しません。
相続手続きの流れ
相続手続を行っていくには、「誰が相続人なのか?」を確定させなければ始まりません。
法定相続人を確定せずに、遺産分割協議を進めていくと、途中で法定相続人が見つかった場合に、初めからやり直さなければならないからです。
法定相続人は原則として被相続人が、「生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等(除籍謄本・改製原戸籍)」戸籍を取得して調査・確定します。
そして、生まれてから亡くなるまでの戸籍を取得したら、子供の数や名前、認知した子供、養子の有無などを調べ、もしも子供がいない場合は、父母(祖父母)、兄弟(姉妹)の戸籍も調べていかなければなりません。
相続財産の調査
法定相続人を確定させたら、次に故人にどのくらいの財産があったかを調査して行きます。相続財産を調査することによって、被相続人の「+の財産」・「-の財産」を把握し、相続をするかしないかを決定するためです。
●「+の財産」の例
・不動産(農地、山林、借地権、借家権、抵当権、地上権など)
不動産の登記簿謄本や公図、固定資産税納付通知書などをから被相続人名義の不動産の有無を調査します。
※未登記の建物であっても、固定資産税の評価を受けているのであれば、固定資産税納付通知書を取得することによって、所在及び所有名義が判明することがあります。
- ・動産(自動車、バイク、電化製品、家具、骨董品、美術品、貴金属など)
- ・金銭(預貯金、貸付金、売掛金)
- ・有価証券(株券、国債、社債、小切手、手形など)
●「-の財産」の例
- ・借金
- ・買掛金
- ・未払金
- ・ローン
- ・税金
遺産分割協議
財産の調査が終わり、各相続人が相続をするかしないかを選択した後は、遺産分割協議を始め、遺産分割協議書を作成します。
民法で定められている法定相続分と異なる相続分を定めることもできます。
金銭だけであれば法定相続分の割合で遺産分割することは簡単ですが、不動産などが含まれている場合、遺産分割協議によって、法定相続分と異なった内容にする場合も出てきます。
遺産分割協議には、原則として相続人が全員参加する必要があります。
相続税
相続税とは、ある人が亡くなった場合に、その人が残した財産を相続によって取得した時にかかる税金のことで、相続人が納税義務者となります。
相続税は、相続開始を知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の住所の所轄税務署に申告書を提出し、納付しなければならず、この期限内に申告・納付しなかった場合は、加算税や滞納税の対象になります。
各申請窓口への書類提出
法務局(不動産名義変更)・金融機関(払い戻し)・税務署(相続税納付)・他
固定資産税
固定資産をお持ちの方がお亡くなりになった場合、遺産分割協議等を経て、法務局で所有権移転登記を行う事により、登記の翌年の年度から新しい所有者に固定資産税通知書が送付されます。
相続に必要となる書類
1 | 被相続人(故人)の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等(除籍謄本・改製原戸籍) | |||
---|---|---|---|---|
2 | 相続人全員の現在戸籍 | |||
3 | 相続人全員の印鑑証明書 | |||
4 | 不動産について取得する相続人の住民票 | |||
5 | 不動産登記簿 | |||
6 | 固定資産評価証明書 | |||
7 | 金融機関所定の用紙 | |||
8 | 通帳・カード | |||
9 | 保険証券 | |||
10 | 遺産分割協議書 | |||
11 | 相続関係相関図 |
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